2010/03/30 火

ロゴスとパトス

現代文の重要キーワードでもあるこの対の言葉。もとは古代ギリシャ(アリストテレス哲学)の言葉で、比較文化論や近代論でも頻出ですが、今回は人間の行動に関連して書きたいと思います。

ロゴス(logos)…言語、論理性/合理性、知性/理性 ≒logic
パトス(pathos)…感覚、感情/情念、感性 ≒passion

これらが主要な意味ですが、さらにそれぞれが持つニュアンスを加えると

ロゴス…説明・記録手段たるもの、精神性、能動性
パトス…一時性、感受性、受動性

となります。いわゆる二元論の典型です。

また人間の脳科学に言われるところの“右脳”と“左脳”に当てはめると、

左脳=ロゴス
右脳=パトス

ということになります。

さて、人間の行動のしくみについて、私は専門家ではありませんが、以下自分なりに分析してみたいと思います。

まずよく言われることとして、人間の行動の起点になるのは、だいたいの場合、感情(=パトス、以後とする)だと考えられます。「楽しそう」「嫌だ」「~になりたい」「~してみたい」「欲しい」「怖い」と思うから行動に移ります。

一方で、理性(=ロゴス、以後とする)は、その理由付けや判断材料として(いわゆる「気持ちの整理」としても)働くもの、あるいは実行手段そのものと言えるかもしれません。

つまり、人間の行動は、多くの場合、<P→L>というプロセスを経ると説明できます。例えば、“右脳型”の人は行動までが早く、“左脳型”の人は行動が遅い(よく言えば慎重派)という分類からも頷けます。

「将来、医者になりたい」「社長になりたい」「公務員になりたい」「東大に入りたい」「テストで100点をとりたい」― それぞれの目標や理想には、おそらく目的や理由があるでしょうが、さらに紐解けば、個人的な感情や感覚、価値観に行きつくものです。

もちろん、すべてがそうだとは言えませんが、総じて“動機”とは“パトス”に由来することが多く、その後目的達成のため、あるいはモチベーション持続のために“ロゴス”が機能しているとも言えます。

ここで、もう一つの言葉を紹介します。

エトス(ethos)…時代や社会文化に基づく倫理・慣習・価値観。持続的な性状を意味する。

実は、個々の感覚や価値観は、エトスの影響を大きく受けているという側面があります。例えば「東大に入りたい」というのは、必ずしも個人の意思とは言えず、社会的な価値観に基づいた願望かもしれません。

「だから何なんだ?!」と言われかねない展開になってきましたが、何事についても「自分はどうしたいのか」「どうしたら満たされるのか」ということを的側面から“考えつつ”、さらに「どうしてそう思うのか」「どうしたら達成できるのか」ということを的側面から客観的に見つめてみること、この両方が必要だと思います。さらにエトス的要素も含まれてきますが、その部分については最終的に客観視できればいいことだと思います。

そして今回、最も言いたかったこと、それは「自分はどうなりたいのか」あるいは「どうなりたくないのか」というところから将来のことを考えることで、物事を“シンプル”かつ“正しい”方向に進められるのではないか、ということでした。

極論として、人間皆、“何もしない”という選択はできません。以前小学生の頃「何しているの?」と聞かれて、「息してる」と答えることが流行っていた気もしますが、「息をしている」とはまさに「生きている」ことで、「生きる」とは何かしら「がんばっている」あるいは「がんばろうとしている」ということだと思います。

以上、ロゴスとパトスに関連した話でした。

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