2010年度大学入試の動向(速報)
2010年度入試もそろそろ佳境となりました。センター試験の難化(数1A,化学,物理,古典,政治経済=特に理系志望者の不利)や不景気という世情が大きく影響した大学入試となっています。以下、簡単ですが志願者の動向をまとめておきます。
1、併願数の絞り込みと安全志向(私大中心に)
2、主に地方を中心とした国公立大指向
3、センター難化による出願の安全志向(理系中心に)
4、私大センター利用の重視(=浪人回避指向)
以上が主な傾向として挙げられます。
また学部別では、医療看護系の人気上昇が特筆すべき幅で見られ、実学志向(「手に職を」)の一環としても象徴的です。また経済・経営学部系は近年理系志望者の受験が拡大していますが、今年度は、センター試験が理系不利の結果だったこともあり、理系志望者はやや慎重にならざるを得なかったかもしれません。
一方、大学側の対応として、合格者の絞り込みが加速しているのではと考えられます。特に早い段階で合否を出す私大センター利用入試(前期等)では、そういう流れになっているような気がします。*まだ入試結果が公表されていないので推測の範囲ですが。
<今後の展望>
不景気および現役指向や実学志向の流れは、当面継続する可能性が高いと思われます。よって特に私大への出願は、上位校から少しずつ偏差値下位へとスライドしていくため、中堅大学の競争率が一部上がることは想定できます。しかし、中堅大学の中でも、例えば“すべり止め”の人気として格差が出てくるので、いわゆるMARCHや日東駒専などという旧来の分類ではなく、より大学個々の人気格差が色濃く出てくるのではないでしょうか。ちなみに今年度は明治大学が大幅に出願者を増やし早稲田大学を抜いて日本一になることは報道の通りです。
尚、国公立大学や難関私大については、それほど変動はないと考えられます。ただし、学部によっての人気格差については私大を含め、今後生じていく可能性も否めません。
いずれにしても、これまで以上に注意深く見て考えていく必要があるでしょう。