高校化学の学習指針2023
高校化学の学習指針(作成:iDeal)
大きく、理論化学・無機化学・有機化学の3つの分野に分かれている。
3つの分野それぞれの性格が異なり、ややこしいと感じるが、根底にある規則や現象は共通しているので基礎知識の重要性が高い。
覚えることが多く、応用の幅も広いので苦手にする人も多いが、抑えるところを抑え十分な反復を行なえば分野どうしを体系的に繋げながら考えることができる。
①理論を一通り終わらせてから、無機、有機に進む。
理論には、化学全体を通しての基礎になる内容、例えば、原子、イオン、周期表やmolを使った計算がある。また、酸塩基や酸化還元反応といった、無機、有機での反応の説明になる内容もあるので、理論に不安があると丸暗記になってしまい応用が利きにくくなる。
②なにがどう変化をしているのかをイメージ出来るようにする。
電池、電気分解での電子やイオンの動き、金属結晶格子での原子の配列、工業的製法での変化の流れ、化合物やイオンの色、エステル化はどういう変化が起こっているのか、等々。化学の反応は、文章だけでは何がどうなっているのかイメージし辛い。
そこで、図表を書いてみたり、資料集など写真を見てみたりして、どういうことが今起こっているのかを想像できるようにするとよい。
③各単元の頻出パターンとその解法手順を身に付ける。
化学の問題は、単元ごとに出題されるパターンがある程度決まってくる。そういった頻出題の解法手順を過程も含めて理解し自由に使えるようにしていく。
1.理論化学
・知識を問われる問題もあるが、計算問題の比率が多い分野。
・繁雑な計算、有効数字とミスが出やすい。式を一つにまとめて計算するなどのセオリーを身に付ける。
・molを利用した計算は慣れないかもしれないが、繰り返すことで慣れていこう。
・化学反応式は計算問題の大前提になる。各単元で頻出の反応式はおさえる。
・熱化学、酸化還元、平衡、気体の状態方程式など、公式や考え方をしっかり把握し、反応の中で何がどう変わっていったかをきちんと追えるようにする。特に酸化還元は、有機化学の反応をほとんど説明できるので重要。
2.無機化学
・暗記がベースになる分野。知識はあればあるだけ有利。
・化合物や同位体、同素体の名前、イオンや化合物の色は頻出のものから覚えていく。
・色に関しては、傾向があるので、まずはそれをつかんで、例外的なものを後から抑えていくと良い。また資料集などで実際の色を見てイメージとして記憶するのも有効。
・語呂合わせを上手に活用する。ネットには語呂合わせ集のサイトなどもある。
・インプット(暗記)に終始しがちだが、覚えた知識をきちんと使えるかを試すアウトプット(問題演習)を忘れないように。特にA⇒Bとだけ覚えていて、BからAが思い浮かばないといったことがないようにする。
・暗記⇒問題演習⇒抜けていたところの補強をくり返す。
3.有機化学
・暗記項目多めだが、覚えた知識を前提にパズルのような問題が出るので、演習が大事になる。
・命名法、官能基の構造と特徴は前提になるので最初に覚える。
・無機と同様に暗記だけに終始せず、覚えた知識を十全に使えているかの確認作業を怠らないようにする。
・例えば、試薬や条件からどの反応か予測ができるか。構造決定で、問題文からどんな反応が起こっているのか読み取れるか。
・ある程度、暗記が済んだら演習多めに。特に構造決定は演習を繰り返して。
・高分子は構造式の暗記が大変だが、覚えたものが得点に直結しやすい。
・糖はヒドロキシ基に注目する。アミノ酸は構造やその性質分子量を出来るだけ抑える。脂質はどの脂肪酸が反応したのか判断できるようにする。生命分野は核酸塩基の組み合わせは必須だがそれ以外は志望校の出題傾向と相談。