

東北大学徹底攻略/2025入試変更点&出題傾向まとめと合格戦略
東北大学について
東北大学と言えば、もちろん旧帝国大学の一つ。
特に理系でノーベル賞受賞学者を数多く輩出という印象があります。
そして、2024年度になんと、国際卓越研究大学に、東大・京大などを差し置いて日本で唯一指定されました。
これによって、2025年度の入試でさらに人気が高まる可能性は否定できません。
ただ、2025年度、東北大学は入試科目配点について大きく変更を予定しています。
今回はその辺りを詳しくご紹介していくとともに、科目別の出題傾向、さらには合格最低点や共通テストリサーチの情報を踏まえた合格戦略について解説していきたいと思います。
学部構成
まずは理系学部のラインナップから見ていきましょう。
理学部・工学部・農学部・医学部・歯学部・薬学部と全部で6学部あります。
入試に関しては、
理学部の前期は第2志望まで出願可能、工学部は第3志望まで出願可能です。
後期日程は理学部のみ入試が実施されています。
一方、文系学部は文学部・法学部・教育学部・経済学部の4学部になります。
後期日程は経済学部のみ実施されています。
学部別共テボーダーと偏差値
ここで、学部別の共通テストボーダーラインと偏差値について、北大・京大・東大・東京科学大と比較して見ていきます。
東大・京大・東京科学大と比べると、東北大は比較的合格しやすいと見えます。
一方で、北大と比べた場合、理系学部に関しては東北大の方が全体的に高い。
逆に、文系学部を見てみると、文学部・法学部においては北大の方が少し共通テストボーダーが高いということになっています。
また、この表には出していませんが名古屋大と比べた場合
理系学部は東北大、文系学部は名古屋大という形になります。
出身都道府県割合
こちらは東北大学全体での、志願者(左)と入学者(右)の出身地域別の割合を円グラフで示したものです。(大学案内より)
右側の入学者の方を見ると、右上のところ、地元宮城県の人が324人で13%を占めています。
また宮城県以外の東北地方出身者が486人で19.4%と、東北地方全体で合わせて32%ほど、約3分の1くらいの人が東北出身ということになります。
一方、下のところ、関東地方出身の人が984人で39.4%と、東北地方出身の人より関東地方出身の人の方が多いです。
さらに内訳をみると、東京を中心とした首都圏4都県で670人、うち東京都で273人
ですので、おそらく宮城県に次いで東京都出身者が多いということになります。
また、仙台に割と近い茨城県・栃木県・群馬県の北関東の出身者が314人になっています。
ここからわかる事として、東北大学はもちろん東北地方で一番の大学となりますが、実際のところ関東地方、特に首都圏からの志願者・入学者が結構な割合でいるということです。
入試変更点
では、ここから学部別の入試科目配点の変更点について見ていきましょう。
理系学部
まず、理学部から見ていきます。
以前、共通テストは900点満点の各科目を半分にして合計450点ということでした。
これを、2025年度からは基本1.5倍の地歴だけ2倍に増やし、情報50点を追加で合計750点
2次試験は数・理・英になりますがそれぞれ2倍の600・600・400で計1600点になっています。
2次試験だけ見ると、各科目単純に2倍の点数になっているので、結果的に2次試験比率が64%から68%に上がっているということになります。
一方、工学部はこちら
2024年度までは理学部と同じ科目配点でしたが、2025年度からは理学部と異なります。
基本的には、共通テストは各科目2024年度までの2倍に情報50点を加えたかたちになります。
それに対し2次試験は、例えば、300点だった数学が750点と各科目2.5倍の点数になります。
そうすると、1次試験と2次試験の比率が950:2000になり、2次試験比率でいうと67.7%と、これまでの64%から3.7%ほど上がることになります。
このように前期日程全ての学部で科目配点が変更されています。
配点変更の最大の理由は、おそらく情報という科目
こちらは一律で全学部50点加えることになるのですが、そこでバランスをとって他教科および2次試験の配点比率を上げて調整した結果だと思われます。
ここからはその他の全学部について、理系→文系の順に見ていきます。
一応、2次試験の配点比率が上がった幅が大きい順に並び変えて紹介していきます。
ちなみに、理学部が4%アップ、工学部が3.7%アップでした。
他理系学部
まずは経済学部理系
こちらは2次試験配点比率が4%アップ。
共通テストで国語の配点が2倍になり比率が高くなります。
また2次試験ですが、数学と理科はもともと各300点だったのが2倍の600点になるのに対し、英語は200点が600点、なんと3倍になります。
前年度までと比べると、共通テストの国語と2次試験の英語が重視されます。
次に農学部
共通テストは各科目が2倍の点数になって情報が50点加わります。
2次試験は各科目300点だったのが700点になります。
医学部です。
共通テストの配点が2倍になって情報の50点が加わります。
2次試験は、各科目250点だったのが600点になっています。
その結果、2次試験配点比率が1%アップしています。
その他の理系学部、医学部保健学科・薬学部・歯学部は御覧の通りです。
文系学部
4学部ありますが、東北大文系学部はすべての学部において2次試験は、英語・数学・国語の3教科で地歴の試験はありません。
まず経済学部の文系枠です。
前年までと比べると、共通テスト650点が1100点に上がっています。
もともと、2次試験で地歴公民がないこともあり、1次試験での配点比率は高く設定されています。
情報は、理系学部と同様に50点に配点されています。
そして、2次試験はそれぞれ前年までの倍の得点600点ずつになっています。
結果的に、理系枠と同じく2次試験の配点比率が4%アップしています。
文学部でも数学は必須になっています。
ただ、経済学部などに比べると2次試験での数学の配点は低く設定されています。
また、教育学部も文学部と似たような傾斜配点でありますが、1次試験の合計が950点で、地歴公民が他教科と同じ配点比率に抑えられているといったところです。
法学部も共通テストに関しては、教育学部と同じ配点比率になっています。
ただし、2次試験での数学の配点が少し高くなっています。
後期日程
最後に後期日程についてもまとめておきます。
後期は経済学部と理学部のみで、経済学部は前期同様理系枠も用意されています。
2次試験の科目としては、経済学部文系枠で英語・数学の2科目のみ、理系枠で数学・面接のみ、理学部は数学・理科の2科目のみの実施となります。
共通テストは、各学部とも1次試験でのみ使用する科目が一部あります。
合格戦略と科目別出題傾向
ここからは、合格戦略と科目別の出題傾向について見ていこうと思います。
まず、2024年度の合格者平均点
これは大学側で公表しているものですが、学部別に共通テスト・2次試験、そして総合点で一覧にしてみました。
そして、そこから独自に合格最低点を予想しています。(一番右黄色のところ)
ここで工学部に注目していきます。
工学部の共通テストのボーダーラインは79%と仮定(後述)すると、450点満点中355点取っていることになります。
今回出した合格最低点は、61%で762点だとすると、2次試験で最低407点が必要になります。
これは2次試験の満点800点のうち50.8%
つまり、共通テストでボーダーラインがとれていれば2次試験は5割ちょっとでぎりぎり合格する計算になります。
おそらく、多めに見ても55%くらいを目標にしておけばよさそうです。
工学部以外の学部も、医学部・歯学部を除けば、大体60%前後が合格最低点になるので、それを前提に計算してもらえればと思います。
出題傾向
次に科目別の出題傾向を紹介していきます。
英語
試験時間は100分で大問構成はこのようになっています。
<大問構成>100分
1.長文 *総合的な出題内容 注)文法誤文指摘
2.長文 注)文挿入など
3.会話文+英作文(テーマ作文80語程度)
4.英作文(和文英訳・整序作文)
大問1・2が長文です。
総合的な出題内容と書いてありますが、長文といっても単純な和訳や内容説明ではなく、バラエティーに富んだ設問形式になっています。
例えば、長文の中で文法の誤文指摘をさせたり、文挿入問題があったりという形になります。
大問3が、会話文+テーマ英作文
大問4が、和文英訳や整序作文を中心とした英作文 になっています。
全体を見てもバラエティーに富んだ出題形式といえます。
よって、総合的な英語力、かつ分量も結構多いのでスピードが必要になてきます。
数学
<理系6題/150分>
頻出分野:図形系(ベクトル・幾何・空間図形)
<文系4題/100分>
頻出分野:微積分・確率・ベクトル・図形と方程式
理系の方から見ていくと、150分で6題
頻出分野は、ベクトル・幾何・空間図形といった図形系
実際のところは、融合問題が多く、また良問が多いといわれています。
単純計算でいくと1題25分で解くことになります。
ですが、小問での誘導があるので、それに乗りながら解けるとこまで解いて、次に行くという戦略で時間配分を考えるといいかと思います。
一方、文系の方は100分で4題です。
頻出分野は、微積・確率・ベクトル・図形と方程式あたりになります。
国語(文系)
国語は文系のみになります。
試験時間は120分で、大問構成はこのようになっています。
<大問構成/120分>
1.評論文 *漢字の書き取りを含む
2.小説・エッセイ
3.古文
4.漢文
試験時間は、2021年度以降この120分という長さに延長されているので、慌てて解く必要はありません。
ただ、全問概ね字数指定付きの記述式で、分量が多く、難易度も高いといわれています。
次に理科
こちらは2科目選択で試験時間は150分なので、実質1科目75分程度となります。
物理(理系)
<大問構成/2科目で150分=実質75分>
1.力学+2.電磁気+3.熱 or 波 *2022年度:原子(光と融合)
大問構成としては、他の大学などと同じような構成で、力学・電磁気、そして熱力学か波という風になります。
ちなみに、2022年度に原子が光との融合で出題されています。
全体的に問題文が長いのですが、図があらかじめ書かれていることもありますし、中問小問と分かれていく構成が多いので誘導に乗りやすい部分もあります。
標準的で解きやすい、いわゆる良問が多いといわれています。
化学(理系)
<大問構成/2科目で150分=実質75分>
1.理論化学
2.無機+理論
3.有機・高分子
続いて化学
大問構成は理論化学1題、無機と理論の融合問題1題、有機・高分子が1題となっています。
全体的に標準レベルで、短答形式が多めになります。
ただし、一部に論述や計算過程を求められる問題もあります。
また、有機化学の構造決定問題に関しては、差がつく問題をかなり出しきます。
過去問演習などでしっかり対策をしておきたいところです。
あと、全体的に問題数が多いので、時間配分やスピードにも要注意です。
そして、地理歴史の試験科目はありません。
最後に1つ、興味深い話をしたいと思います。
共通テストリサーチから考える合格戦略
画像左側は、2024年度、東北大学工学部電気情報物理学科(前期)の共通テストリサーチになります。
そして、右側は比較対象として東京大学理科1類(前期)をのせています。
左側東北大学の2列ある表の右側、昨年度合否実態というところに注目してください。
濃は合格濃厚ラインになりますが、これが得点率でいうと84%
ボがボーダーラインで、ここが78%
そして、注がいわゆる逆転可能ラインのところなんですが、これが71%になります。
この合格濃厚ラインと逆転可能ラインの差、幅が13%になります。
これに対し、東京大学の理1は合格濃厚ライン92%、逆転可能ライン84%と実は8%しか、幅がありません。
推測できること
ここから、東北大学の場合、ある程度共通テストが悪くても、逆転合格している人がいるということになります。
そして、これが2025年度の配点の変更により、もっと増える可能性があるのではないか、といった推測ができるわけです。
先ほどの紹介にあるように、東北大の2次試験の問題は比較的良問が多く、得点分布がなだらかに出やすいといわれています。
つまり実力通りの得点が出やすいという傾向があります。
そうなると、共通テストで高得点とっている人は、おそらく2次試験でも高得点を取る傾向が強く、余裕をもって合格している人が多いのではないかと思われます。
そういう意味では、過度な2次試験での逆転という戦略を立てるよりも、共通テストで8割くらいを目標に地道に頑張って2次試験でも取れるところでしっかりとる。といった戦略が良いのではないでしょうか。
ということで、今回は東北大学徹底攻略を紹介させていただきました。
お役立ていただければ幸いです。