早稲田理工3学部入試最新情報&得点戦略~ねらい目は?~
今回は早稲田理工3学部の狙い目は?
ということで、私立理系最難関の早稲田理工3学部。2026年度の入試最新情報、それから各科目の出題傾向、得点戦略などについて詳しく見ていきたいと思います。
早稲田大学の3つの理工学部
早稲田の理工学部は、基幹理工・創造理工・先進理工に分かれて多様な学科を揃えています。
そして、キャンパスは西早稲田キャンパス(旧大久保キャンパス)になります。
基幹理工学部
基幹理工学部は、入試を学系ごとに行い、学系1が数学系、学系2が工学系、昨年学系2から分かれた学系3が情報系、そして、学系4がメディア系、と分かれています。2年進級時に進級振り分けが行われ、上図のような割合で振り分けされていきます。
創造理工学部
創造理工学部は、入試の段階で建築学科、総合機械工学科、経営システム工学科、社会環境工学科、環境資源工学科の5学科に分かれています。そして、上図にあるように、社会文化領域に関係する学科が集められている学部です。
先進理工学部
先進理工学部は、こちらも学科別の入試です。物理学科、応用物理学科、化学・生命科学科、応用化学科、生命医科学科、電気・情報生命工学科の全部で6学科に分かれています。これは、理学系というよりは物理・化学・生命科学系の学科を集めた学部といえます。
あらためて全体をまとめるとこういう形になります。
基幹理工のみ学系での募集で、2年進級時に進級振り分けが行われます。これが早稲田理工3学部トータルで18学科の構成になります。
入試の詳細
ここからは入試について詳細を見ていきたいと思います。
ちなみにこの3学部は、入試問題はすべて同じで、同日の入試になっています。
そして、学部間の併願は不可ですが、先進理工学部のみ第2志望の学科まで出願が可能です。
また、基幹理工学部の学系4、および創造理工学部の各学科においては、得意科目選考が実施されています。
学科別実質倍率
下の表は、各学科・学系の定員と過去3年間の実質倍率になります。
昨年2025年度は、理工全体で志願者総数12,226名と前年比で約2%増加しました。
全体としても増加傾向にありますが、3年間の倍率の推移を追うことで各学科の人気などが見えてくると思います。
赤色がその年度において高倍率の学科になっています。逆に青色が低倍率の学科。そして、オレンジ色がこの3年間で上昇傾向にある学科、と色分けしています。
倍率低めの学科
まず、倍率が低いところから見ていくと、創造理工学部の総合機械工学科
2025年度が3.7倍、2023年度が3.4倍、2024年度も4.2倍と、割と低い倍率で推移しています。毎年、総合機械工は狙い目だといわれています。
それから、社会環境学科も3.5~3.6倍と比較的低めの倍率で数位しています。
昨年学系が2つに分かれた、基幹理工学部の2と3のところですが、学系2の機械系があまり人気がなく、3.2倍まで下がっています。
また、先進理工学部の電気・情報生命工学科。こちら一昨年になりますが2.6倍とかなり低かったのに、昨年は3.8倍。ただ、よく見てみるとこれは隔年現象といって、2年に1回上がったり下がったりを繰り返す現象が起きています。そういった意味では、来年、2026年度は狙い目なのかなという気もします。
人気上昇傾向の学科
次に、オレンジ色のところも確認していきます。
基幹理工学部の学系1です。2023年度から2025年度にかけて2.6倍→2.8倍→3.1倍と上昇傾向にあります。ただし、基幹理工学部の中ではこれでも倍率が低い方です。なので、基幹理工学部に進みたいという場合は狙い目になるかもしれません。ただ、進級できる専攻が数学科と応用数理学科と限られていますのでそういった人向けになります。
それから、創造理工学部の経営システム工学科。昨年が4.4倍とかなり高めになっています。学科としての人気が毎年上がっていて、高いレベルで上昇傾向にあると言って良いと思います。
更に、同学部の環境資源工学科。昨年が4.8倍とかなり高くなっています。この3年間で2.9倍→3.9倍→4.8倍と約1倍ずつの人気上昇をしているので要注意だと思います。
あと、先進理工学部の化学・生命化学科、応用化学科も少しずつ上昇傾向にあります。また、生命医科学科はもともと人気の学科ですが、昨年4.7倍とこの3年間でさらに人気が上がってきています。
学科別合格最低点
各学科別の合格最低点です。これは過去2年間のもので見ていきます。
基本的には各学科360点満点です。創造理工学部建築学科のみ、空間表現というデッサン科目がありますので400点満点になります。
基幹理工学部
学系が4つありますが、序列としては、情報系の学系3→表現系の学系4→数学系の学系1→工学系の学系2となっています。
一番最低点が高い学系3で、219点、得点率でいうと60.8%。2025年度からの分け方なので何とも言えないところでありますが、おそらく、比較的学系1・2が優しい方、学系3・4が難しい方という形になると思います。
創造理工学部
一番最低点が低いのが、総合機械工学科で190点。先ほど倍率のところでも比較的受かりやすい学科として紹介しましたが、こちらで得点率でいうと52.7%になります。
先進理工学部
一番合格最低点が高いのが、物理学科。224点、得点率62.2%となります。物理学科は毎年合格最低点が高いのですが、これには1つ要因が考えられます。それは、理科が物理・化学の2科目で、物理に傾斜を置く2:1の配点になるので、おそらく物理が得意な人が物理で高得点を取り合格最低点を押し上げているというところがあると思います。
それから、生命医科学科。こちらも毎年合格最低点が高めに出ていて、昨年度は206点になります。
逆に合格最低点が低いのが、化学・生命科学科、電気・情報生命工学科。それぞれ50%前半の得点率となっています。
ちなみに理科の傾斜配点について補足しておくと、
物理学科と応用物理学科が物理重視の、化学・生命化学科と応用化学科が化学重視の傾斜配点となっています。
また、先進理工学部は生物の選択が出来る学科もあります。物理・化学・生物のどれが得意なのか、というところで第2志望の併願をそれに合わせて考えるのが基本的な流れになるのかなと思います。
科目配点シミュレーション
こちら一旦、早稲田と慶応の比較になります。
| 早稲田 | 慶應 | |
| 配点 | 科目 | 配点 |
| 120点 | 英語 | 150点 |
| 120点 | 数学 | 150点 |
| 120点(60点×2科目) | 理科 | 200点(100点×2科目) |
慶應は、英語・数学に対して理科の配点が高いです。一方、早稲田は、英語・数学・理科(理科は2科目合計ですが)3教科の配点は同じ120点ずつとなります。どちらかというと、理科重視の慶應と数学重視の早稲田になるかなと思います。
ここからは得点シミュレーションをしていきます。
まず、早稲田の理工は英語が難しい、私立の英語で最も難しいといわれるくらいのレベルです。
シミュレーション1
一旦、半分取れない48点(40%)でシミュレーションしてみます。
| 科目 | 配点 | シミュレーション1 |
| 英語 | 120点 | 48点(40%) |
| 数学 | 120点 | 72点(60%) |
| 理科 | 120点(60点×2科目) | 72点(60%) |
| 合計 | 360点 | 192点(53.3%) |
英語以外の数学と理科は、72点(60%)ずつ取ると、合計が192点(53.3%)になります。
この点数でいうと、2025年度であれば前出の表と見比べると、創造理工学部総合機械工学科(52.7%)、先進理工学部化学・生命科学科(53.3%)、同学部電気・情報生命工学科(52.7%)、この辺りであればぎりぎり合格できるというシミュレーションになります。
シミュレーション2
ちょっとぎりぎりで心許ないので、理数系の科目でもう少し上積みを。ということで、数学と理科を78点(65%)にしてみると、
| 科目 | 配点 | シミュレーション2 |
| 英語 | 120点 | 48点(40%) |
| 数学 | 120点 | 78点(65%) |
| 理科 | 120点(60点×2科目) | 78点(65%) |
| 合計 | 360点 | 204点(56.6%) |
合計が204点(56.6%)
こうなると、2025年度の基幹理工学部学系1の合格最低点とぴったりになります。
シミュレーション3
更に、英語が易化傾向ということもあり、対策次第では60点(50%)は取れるだろうと見込んで考えてみると、
| 科目 | 配点 | シミュレーション3 |
| 英語 | 120点 | 60点(50%) |
| 数学 | 120点 | 78点(65%) |
| 理科 | 120点(60点×2科目) | 78点(65%) |
| 合計 | 360点 | 216点(60%) |
合計が216点(60%)
2025年度でいえば、基幹理工学部学系3と先進理工学部物理学科を除けば、すべての学科で合格最低点を上回るということになります。
シミュレーション4・5
そしてこのシミュ3に更に上積みで、数学が得意で84点(70%)を目指せる、というのであれば、
| 科目 | 配点 | シミュレーション4 |
| 英語 | 120点 | 60点(50%) |
| 数学 | 120点 | 84点(70%) |
| 理科 | 120点(60点×2科目) | 78点(65%) |
| 合計 | 360点 | 222点(61.6%) |
こちら、合計点が222点(61.6%)
他に、もう少し英語が取れます、ということで66点(55%)になると、
| 科目 | 配点 | シミュレーション5 |
| 英語 | 120点 | 66点(55%) |
| 数学 | 120点 | 78点(65%) |
| 理科 | 120点(60点×2科目) | 78点(65%) |
| 合計 | 360点 | 222点(61.6%) |
同じく合計222点(61.6%)
ここまで来ると、先ほどの基幹理工学部学系3の2025年度合格最低点も上回ることができます。
ちなみに、先進理工学部物理学科の場合は傾斜配点なので少し例外とさせていただきます。
ただ、実際の目標設定としては、やはり数学と理科で65-70%、英語が最低でも50%できれば60%を目指しておくと、早稲田理工の合格はかなり現実的になってくるのではないかと思います。
科目別出題構成&傾向
科目別の出題構成と傾向も見ていきたいと思います。
英語
試験時間は90分で、すべてマークシート式。
大問5題で語数が多く、特に第1問だけで3つ長文が出て、合わせると1000~1500語くらいの長文になります。
また、全体的に科学系特有の難解な表現、語彙レベルが高い文章が多く出題されます。
そして、設問の文章もすべて英語になります。
要注意なのは第4問で、数学的な設問です。数学をやってない人には何だろうとなる設問も含まれるので、こちらは注意と対策が必要になります。
数学
試験時間は120分で、すべて記述式の大問5題構成。
基本的には数Ⅲが良く出るといわれていますが、昨年は少し控えめな出題になっていました。また、証明問題や図示問題の頻度が高いです。
2026年度から、統計的な推測も出題範囲となっているので注意が必要です。
理科
学科によっては生物も選択可能ということで、物理・化学・生物から2科目で120分となります。
まず、いずれにしても1科目60分前後で解かなければならないということで、時間がかなり厳しいです。
そしてそれぞれの科目大問3台の構成になっています。
物理
第1問がマークシート式、他2題は記述式ですが途中式無しの答えのみになります。
2025年度は、第1問が力学、第2問が電磁気学、第3問が熱力学となっていました。
他の大学と同様に、力学と電磁気学は毎年必ず出題されています。
また、答えのみの記述式と書きましたが、描図問題も結構出題されています。
年度によっては、難問といわれるような問題も出されるので要注意です。
化学
第1問が小問集合的なマークシート式、他2題は記述式とマークシート式の融合です。
全体として問題数がかなり多く、計算量も多いので時間がかなりきつくなっています。
比較的よく出題されているのが、酸化還元・反応の速度・有機の構造決定。
2025年度は正誤判定問題が増えました。
生物
記述式や論述式を含む形式。
実験考察・計算問題、さらには、グラフ作成などの描図問題が出されるので、どちらかというと、国公立向けの対策が必要になってきます。
その他の早稲田理系入試
最後におまけとして、その他の早稲田理系入試について確認していきます。
理系の学科を含むのが、教育学部と人間科学部になります。それぞれ、数学科・理学科(生物学専修・地球科学専修)、人間環境科学科・健康福祉科学科・人間情報科学科と理系が含まれています。
| 学部・学科 | 入試方式 |
| 教育学部
・数学科 ・理学科 (生物学専修・地球科学専修) |
B方式:独自試験3科目
C方式:共通テスト5教科7科目+独自試験1科目 |
| 人間科学部
・人間環境科学科 ・健康福祉科学科 ・人間情報科学科 |
数英型:共通テスト2教科3科目+独自試験2科目(英数)
数学選抜方式:共通テスト5教科6科目+独自試験1科目(数) |
教育学部から見ていきましょう。
まずB方式、理科1科目のいわゆる一般3科目型。
そしてC方式、割と最近出来た入試方式ですが、共通テスト5教科7科目を受験して、当日に独自試験1科目を受験することになります。
次に、人間科学部です。
昨年度から変更になった数英型、文系の場合は国英型になりますが、共通テストで2教科3科目を受験して、当日に独自試験2科目、数英型の場合は英語と数学になります。
そしてもう一つ、以前からありましたが数学選抜方式、これは主に国公立志望者の併願向けになりますが、共通テスト5教科6科目を受験して、当日は数学のみの独自試験となります。
最後に
さて、ここまで早稲田理工3学部の入試情報について、出題傾向などを含めて細かく見てきました。
皆さんそれぞれ、学びたいこと、進みたい学科等々があることでしょう。
基本的には、まずそれに従っていただければと思います。
また、できるだけ早稲田の理工学部に行きたい、という人もいるでしょうし、あるいは、基幹理工学部に入ってあとから専攻を決めたい、という人もいるかもしれません。
いずれにしても、まずは合格を、ということになるでしょう。
今回のまとめや入試情報などを参考にしていただいて、悔いのない学科選びをし得点戦略で、是非、早稲田大学理工学部に合格していただければと思います。







