2010/03/15 月

いろいろな体験談とその考察(その1)

あらためて自分自身の経験や東大生を中心とした大学生の合格体験談(かなりの人数から直接聞いた話)、そして関わってきた生徒たちの経過を含めて振り返り、いくつかのテーマを切り口としてまとめてみます。

その1、受験に向けての期間とタイミング

<中学受験と高校受験のどちらが有利かの考察>
一般的に中学受験組は優秀とされますが、学校側から見れば“青田買い”なので、特に有名進学校がある地域ではある程度当てはまることだと思います。とはいえ、中学受験をしたから大学受験に有利だとは言い難い面もあります(後述)。その中で一部、高校受験よりも中学受験が経験としてまさっている面があるとすれば、それにかけた時間(期間)であったり、より厳しい競争の結果合格を勝ち取ったという経験値の濃さではないかと考えます。

学力の貯金という考え方
中学受験で必死にがんばって獲得したその学力は、その後の学習において“貯金”となります。ただ、“貯金”がその後6年間消費されていくだけだとしたら、当然大学受験時にはより苦しい状況になります。一方、高校受験でがんばった場合、大学受験はそこから3年後なので、比較的貯金が維持し易いということも言えます(特に英語の貯金は高校受験組だけの特権)。

カリキュラムの進度
中高一貫教育のメリットとして、カリキュラムの進度が速いことから、余裕をもって大学受験の準備ができるということがあります。公立高校でも比較的速い場合もありますが、高2終了時でほぼ一通りが終わる一貫校はやはり有利です。

また中学および高校受験の際に、4科目あるいは5科目で受験勉強をしておいた方が、大学受験でいうところの理社について多少のアドバンテージがあります。

ちなみに小中高一貫校生の場合は、受験経験が他よりも不足している分、早めの準備、それから模試を受ける等の実践的経験をより多くとることをお勧めします。

結論。もちろん個々によって(あるいは学校によって)異なりますが、その後の教育環境、特にカリキュラム進度を考慮すると、中学受験(中高一貫校)がやや有利。

<本腰のタイミングと成績の変動・浮上>
高校受験組で、例えば現役で東大に受かるような人は、高1から地道に勉強している場合が多いようです。一方で、中学受験組の場合、中学低学年の頃からずっと必死で勉強していたかというと、実は、そういう話はあまり聞きません。

タイプ別に分けて考えると、(1)最初から難関合格レベルの人…そもそもほんの一握りしかいない、(2)例えば中学低学年くらいから大学受験を見据えて5‐6年間絶え間なく努力を積み上げてきた人(かなりの努力家タイプ)…正直こういう人もあまりいない。

ということは、ある特定時期から(だいたい高2生くらいでしょうか)、本格的に受験勉強を意識して取り組んだ人が大半だと思います。中高一貫有名塾、例えば鉄緑会に中1から通っていた人たちの体験談としても、そのカリキュラムや教材にとりあえずのっかっておいて、実際本腰を入れ始めたのは、高2・高3からという人も多いようです。むしろ常に必死にならざるを得ない状況というのは、結果的にみた場合、息切れして伸び代があまりなかったということもありえます。

ちなみに私の場合、中高一貫校に通い、中1~中2は成績上位だったにも関わらず、中3~高1の成績はひどいもので中1の席順をちょうど逆に下から数える程のレベルでした。さすがに“やばい”と思い、高2になってからは、学校の勉強を真面目にこなすことと定期試験の成績を上げることに半年から一年程の間執着しました。それで高3になってからは受験勉強中心のスタイルに切り替えた、という感じです。

結論。部活や趣味、学校行事など、勉強以外との両立・バランスの中で考えると、勉強や成績に対して多少パフォーマンスの波があることは、ある程度仕方のないことだと思います。ただ、そこから浮上するきっかけをどのタイミングで持てたか、これが例えば現役合格か浪人かの差になるのだろうと思います。もちろん、最低限のパフォーマンスは維持しておくべきで、“低空飛行”な程、そこから浮上するのはたいへんなことです。

*「その2、勉強の仕方に関する選択」に続く。

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