2025/12/16 火

東京都立大学2026学部別入試科目配点&出題傾向・得点戦略

東京都立大学の一つの特徴として、文系から理系まで学部学科が多岐にわたるところがあります。ただ、入試制度という観点から見ると、学部学科別にかなり入試科目配点が異なるというところがあります。そして、これも特徴の一つということができます。

今回はそういった学部別入試科目配点と、さらには科目別の出題傾向もあわせて得点戦略を考えていきたいと思います。

東京都立大学の学部学科

まずは学部学科を見ていきましょう。

文系学部

人文社会学部は、人間社会学科と人文学科があります。

続いて、法学部。法学科として法律学コースと政治学コースに分かれています。

そして、経済経営学部。経済経営学科は経済学コースと経営学コースに分かれています。

いずれの学部学科も、南大沢キャンパスで4年間を過ごすことになります。

理系学部

理学部は、数理学科、物理学科、化学科、生命科学科の4学科。

都市環境学部は、地理環境学科、都市基盤環境学科、建築学科、環境応用化学科、観光科学科、都市政策科学科の6学科で、都市政策科学科は文系からも受験が可能になっています。

両学部学科とも4年間南大沢キャンパスになります。

システムデザイン学部は、情報科学科、電気電子工学科、機械システム工学科こちらは知能機械コースと生体機械コース、航空宇宙システム工学科、インダストリアルアート学科の5学科。こちらは、1・2年次が南大沢キャンパス、3・4年次が日野キャンパスです。

健康福祉学部は、看護学科、理学療法学科、作業療法学科、放射線学科の4学科。1年次が南大沢キャンパス、2~4年次が荒川キャンパスです。

 

2025一般選抜入試結果

こちらは、2025年度一般選抜前期日程の入試結果です。

まず、前期日程の志願者が、全学部学科合わせて5252名。募集人員882名に対してなので倍率6.0倍。

ただし、実質倍率(受験者数を合格者数で割ったもの)になると約3.3倍になります。

一方、昨年2024年度の前期志願者数が4414名なので、808人増、昨年対比19%のアップとなっています。

では、続いて後期日程です。

2025年度の後期日程志願者数は、全学部学科で2614名。募集人員203名に対してなので倍率12.9倍。

ただし、こちらも実質倍率で計算すると4.2倍、と少し安心できる数字になりますね。

昨年2024年度の前期志願者数が2041名なので、573人増、昨年対比28%のアップとなっています。

 

前期日程入試について

入試科目配点

ここからは前期日程の入試科目配点について学部別にみていきます。

実は、都立大学では、全学部学科の2次試験で調査書が得点化されます。だいたい5点か10点ですが、これも特徴の1つになっています。

文系学部

まず、文系学部から見ていきます。

一般の国公立大の文系学部の場合、共通テストは8科目の受験になります。ただ、上の表をご覧の通り、文系学部で共通テスト8科目を課すというのは経済経営学部の一般区分だけになります。人文社会学部は7科目、法学部に至っては3科目の受験になります。

 

人文社会学部

人間社会学科、人文学科は入試科目配点は同じです。

共通テストは、地歴公民数学から3科目選択各100点の計300点。通常の国公立であれば数学2科目の地歴公民2科目の計4科目が必要になります。そこが、3科目になり1科目少なくなっています。また、英語が配点高めの300点です。

2次試験は、合計が460点と共通テストの比重が高めになっています。また、文系学部なのに英語がありません。小論文とあるのも、いわゆる普通の小論文であって英語は全く含まれていません。

そういったこともあって、共通テストの英語配点が高いのかなと思います。

共通テストのボーダーラインは両学科ともに76%になります。

 

法学部法学科

共通テストは、英語、国語、地歴公民数学から1科目選択の3科目のみになります。

2次試験は、国語、英語、地歴公民数学から1科目選択の計460点。こちらもやや共通テストの配点が高めになっています。

共通テストの科目が3科目少ないので、共通テストのボーダーラインが81%と高めに出ています。

 

経済経営学部

こちらは、一般区分がいわゆる文系受験、数理区分が理系受験になります。

一般区分の方から見ていきましょう。

共通テストは、8科目フルでの受験。1000点満点を半分に圧縮して500点満点になります。

2次試験は、3科目計410点。

この500点対410点で見ても、共通テストの配点の方が高くなっています。

続いて、数理区分です。

共通テストは、理系受験ですが理科が1科目でよく、科目数が7科目と少な目になっています。

2次試験は、数学300点と数学の配点がかなり高くなっています。

 

理系学部

次に理系学部を見ていきましょう。

後ほど表に、英語外検と青い文字が出てきますが、1つまた都立大学の特徴になります。これは、2次試験の英語とは別に英語外部検定試験で50点分が入る、ただし、共通テストの外国語の点数でも代用可能、というものです。これは一部の学部学科で採用されており、都市環境学部の4学科、システムデザイン学部の3学科と健康福祉学部の全学科が対象になっています。

こちらは大学が公表している外部英語検定試験の換算表になります。これはあくまで目安ということらしいのですが、赤枠のところを見てください。

例えば、英検で2300点と準1級に近いくらいの点を取った場合、共通テストの170点を取ったくらいの点数に換算するということかと思います。

つまり共通テスト本番で、この170点以上取れる自信がない人は、あらかじめ英検で2300点くらいを取っておいた方が圧倒的に有利と言えるわけです。

 

理学部

共通テストは、全学部で8科目フルでの受験になります。配点もほぼ一緒になりますが、物理学科のみ英語の配点が200点と高くなっています。

2次試験は、数理科学科が数学2科目に理科1科目、物理学科が数学1科目に理科2科目。そして、それ以外の学科は英語、数学、理科2科目と違いがあります。

ボーダーラインは、だいたい70%~75%になっています。

 

都市環境学部

先ほどあった、英語外部検定試験および共通テストによる加点が、上記4学科で行われます。

地理環境学科は、2次試験で地理の選択が可能ですが、共通テストでは理科2科目が必要と理系寄り受験になっています。

都市基盤環境学科は、共通テストで地歴公民が不要、情報科目の配点が少し高めです。2次試験は、理科1科目でよく、共通テストに比べると配点比率が低くなっています。

建築学科は、この学部内で、共通テストのボーダーラインが79%、2次試験のが偏差値が57.5、と1番高くなっています。ここも共通テストで地歴公民が不要で、理科が1科目。さらに2次試験で英語外検や共テでの加点が50点あります。また、この加点などもあり、英語の、1次試験・2次試験を含めた合計点に対する配点、いわゆる配点比率が28%と30%近い値になっています。実は都立大学の理系、英語の配点比率が高い学部学科が多くあります。

環境応用学科は、建築学科同様、英語の配点比率が28%あり英語重視の配点になっています。

観光科学科は、2次試験での加点がない代わりに、共通テストでの英語の配点が高くなっています。

都市政策科学科は、文系入試と理系入試の2パターンがあります。

 

システムデザイン学部

情報科学科は、理科1科目で共通テストも2次試験も受験できるというのが一つ特徴になります。また、英語の配点比率が、先ほどの建築学科同様28%を占めています。

英語外部検定試験および共通テストによる加点は、情報科学科、航空宇宙システム工学科、インダストリアルアート科の3学科で行われます。

逆に、電気電子工学科、機械システム工学科では加点は行われず、同じ学部の学科間で英語の扱いがだいぶ異なる形になっています。

 

健康福祉学部

英語外部検定試験および共通テストによる加点が、全学科で50点含まれます。

放射線学科では2次試験で数学が実施されますが、それ以外の学科では面接のみで、他には調査書の得点のみです。つまり、共通テストの比率がとても高いということになります。

 

合格シミュレーション

ここからは、いくつかの学部学科を選んで前期日程の合格シミュレーションをしていきたいと思います。

合格最低点は、先ほどお見せした2025年度入試結果を基にしています。そして、河合塾調べの共通テストボーダーラインの点数を合格最低点から引いて、2次試験の合格最低点の目安を求めています。

人文社会学部人文学科ですと、それが2次試験得点率70%。そして、2次試験の科目が国語、地歴・数学、小論文、調査書になります。ここのところは後程、もう少し詳しくシミュレーションしていきます。

経済経営学部の一般区分の場合は、合格最低点が627.15点で共通テストのボーダーが73%ですので、2次試験の最低目安が63.9%。

同様に計算していくと、理学部生命科学科の場合は、2次試験での合格最低目安は58.6%。システムデザイン学部機械システム工学科の場合は、60.8%。そして、健康福祉学部看護学科は、2次試験が面接、調査書、英語外検のみになりますが、78.1%の得点が必要ということになります。

 

科目別出題分析・文系

国語

試験時間90分で、現代文と古文が1題ずつ出題されます。時間にゆとりはある方かと思いますが、記述が多めで、2題とも100字記述があります。

数学

文系数学になります。90分で大問4題。難易度は入試標準レベルですが、場合分けが多いものや証明問題など、過程をしっかり書かせる問題が多いです。

地歴

それぞれ90分。日本史は全問論述。世界史は論述+記述で選択問題なし。地理は論述中心で難易度高めです。

小論文

人文社会学部の2次で課されます。もともとは国語に含まれていましたが、小論文として独立したものになりました。90分で、課題文の読み取り型になっています。課題文は社会科学系から人文系まで年度によって変わっています。200字での要約か内容説明を2題に800字の意見論述の構成になっています。

英語

昨年2025年度から再開されました。60分で長文読解2題の選択問題中心で割と標準的な設問形式になります。

 

では、ここで先ほどの、2次試験の合格最低点の目安を満たすためには、それぞれの科目を何点・何%くらい取れば良いのかというところをシミュレーションしていきたいと思います。

人文社会学部人文学科の場合

さて、人文社会学部人文学科は、2次で70%必要になります。まず、国語を結構頑張って70%を取る。更に、数学・地歴は、得点調整が入るかもしれませんが、ここも、数学の難易度は決して易しくないですし、地歴に関しても論述が多く難易度が高めになってきますので、頑張っても65%くらいかなと。そうなると、なんと最後の小論文で80%くらい取らないと、2次の必要目安に届きません。これはかなり厳しい戦いになります。河合塾調べで人文学科の2次試験は偏差値60というのに頷けるところとなっています。

経済経営学部一般区分の場合

2次の目標ラインは63.9%。国語は人文系ではないので控えめに60%ほどにして、数学・地歴は人文と同程度の65%。そうすると、英語が70%で合格目安の63.9%に届く計算になります。

 

科目別出題分析・理系

数学

大問3題構成で75分。難易度は標準~やや難で、誘導はありますが発想が必要になる問題が多く、複数単元の融合問題もあります。

理科

物理・化学・生物それぞれ75分で、2科目選択の場合はあわせて150分になります。

物理は、比較的オーソドックスな国立型になっていますが、小問が細かく分かれていて誘導のある問題が多いです。化学は、実験問題がかなりの割合で出題されています。また、計算過程の記述や論述問題もあり、難易度は標準的ですが分量が多めになっています。生物は、図表を含めて問題文が長く、論述式の字数が多くなっています。

英語

文系と同じく、昨年2025年度から再開されました。文系と問題は違いますが形式やレベルは似たものになっています。

 

では、こちらも同じくシミュレーションしていきましょう。

理学部生命科学科の場合

2次の目標ラインは58.6%です。数学、理科2科目は、難易度がそんなに優しくないのでそれぞれ55%を想定します。そうなると、英語は70%ほど取れれば、目安の58.6%に届くくらいになります。

システムデザイン学部機械システム工学科の場合

2次の目標ラインは60.8%です。数学は理学部同様に55%を。そして、理科は物理1科目のみですのでここは頑張って60%を取りましょう。そして、英語を他と同じく70%を取ると、目安の60.8%に届くことになります。

健康福祉学部看護学科の場合

共通テストでかなりの部分が決まってくるとは思いますが、2次の目標ラインは78.1%。例えば面接で80%位取れて調査書が満点だったとします。その上で、英語外検・共テでの加点が75%取れて、ぎりぎり届くか届かないかのラインになります。そうすると、共通テスト換算で150点以上、英語外検でもそれくらいのライン(英検で2200くらいでしょうか)を目標にするとよいのかなと思います。

 

 

後期日程入試について

最後に後期日程です。

東京都立大学は、全学部全学科で後期日程が実施されています。

全体的に、前期日程よりも後期日程の方が共通テストのボーダーラインが高くなっています。人文社会学部は両学科ともに83%、都市環境学部建築学科で84%、システムデザイン学部情報科学科で81%とかなりのレベルになっています。また、2次試験の配点比率は前期日程に比べるとおおむね低くなっています。ですので、共通テストである程度高得点を取っておく必要があります。

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