数学 作業としてのステップUP
数学の学習方法について、一回で語るのは無謀ですが、簡単にまとめてみたいと思います。
<わかるからできるまでのステップ>
学習について一般的に言われる「理解」「定着」「応用」という流れがありますが、数学に関して言うと、
公式の理解⇒例題・解法の理解⇒類題を解く⇒繰り返し類題を解くor 発展問題を解く
という手順を追うことがそれに沿ったセオリーだと思います。
1、理解レベル
数学の場合、定理や公式、さらには解法について、少なくともある程度の理解が必要です。ですから、数学をしっかり“学ぶ”というのは、「なぜそうなるか?」ということにこだわること、つまり“リーズニング”を心がけるということです。
高校数学では特に、公式の導出、“図形”と“方程式”のリンクなどが、自身の数学力(あるいは学習効率)を飛躍的に向上させてくれるので、そのような“本質的な部分の理解”&“イメージを伴った理解”を心がけるとよいでしょう。
教材について触れておくと、例えば「チャート式シリーズ(数研)」や「本質シリーズ(旺文社)」、あるいは学校・予備校の“秀逸”な教科書でも構いません。長期的観点から、それらの内容を理解し習得することが先決です。
尚、数学は、必ずしも“理解ありき”の教科とも限らない面があります。定義・公式の意味がはじめわからなくても、問題が解けるにつれて段々と理解が深まる場合もあるので、そのことを付け加えておきます。
2、定着レベル
定着とは、持続的・恒常的に覚えている、あるいは使えるものとして蓄えられているということだと思います。少々話が逸れますが、“logos(=理性・論理etc)”という言葉は、“pathos(=感性etc)”と比べて定着性が高いという意味を含んでいます。そういった観点からも、理屈を伴った“理解”は定着しやすいということは自明ですし、さらにイメージがうまく与えられれば尚更、ということでしょう。
もちろん、実際に問題を解いて、計算して、説明して、答えを出す、、、という行為を繰り返すことが定着のみならず、数学力養成の基盤ということを念押ししておきます。
3、応用レベル
いわゆる応用問題を解く際に、分かれ目となるのが“取っ掛かり”や“発想”の有無です。ただ、これをまるで“センス”のように断定してしまうことはナンセンスなので、どうすれば応用問題を解けるようになっていくのかを考えていきましょう。
A)条件を整理する・作図する
まずは“条件の整理”です。まめに整理できる人はミスも少ないものですが、数学において、条件を見落とすということはまさに致命傷になります。
またグラフや図形を書くことも重要です。特に正解に“近い”図を書けるときは、数値を書き込んでおくと直感と思考が同時に働く助けとなります。
B)手掛かりを探す・試行する
条件を整理した後(あるいは作図の後)、解答への手掛かりを探すわけですが、問題演習の経験が豊富であれば、その手掛かりもパターン化されてくるので楽勝です。ただし、そうでない場合は、整理した条件や図と“睨めっこ”して方針を考えたり、式変形など試行錯誤をしてみたり、設問の誘導(流れ)を確認したり、とにかく手掛かりを探したり、“流れ”に乗ろうとするわけです。
そのときに大切なことは、“手を動かす”こと。ただ頭で考えるだけでは前に進まないようなことを解決してくれる場合も多々あります。
そして方針が決まれば、後は立てた式を解いていく、あるいは説明していく、という作業に移ります。
4、実践レベル
最後に補足。応用問題や難問が解けるようになっても、実際のテストで点数を取れるとは限らない。ミスを減らしたり、答案の質を上げたり、解くスピード・時間配分を工夫したり、といった努力も必要です。
総合的に考えると、マーク式であれ記述式であれ、途中過程をある程度わかりやすく書いておく習慣が功を奏します。マーク式であれば見直しのときに自分でわかる程度でもいいのですが、記述式であれば“他人に説明する”つもりで書かなくてはなりません。
いずれにしても、そのことでミスが減る効果もあります。
あとはタイムトレーニング。制限時間を設けて問題を解くことは、スピードUP、時間感覚の醸成、集中力、粘り、、、など案外色んなことにいい効果をもたらしてくれます。もちろん、何でもかんでも時間を測る必要はありません。まずは1~3のステップを重視すべきですから。
ちなみに計算力について。これはもう“量ありき”です。工夫のしようもありますが、最終的には演習量と経験則がミスさえも減らしてくれるものです。