2012/01/24 火

基礎学力の鍛え方

あくまで受験に限っての話ですが、まず何をもって基礎学力というのか。たとえば、某予備校では、もともとセンター試験(模試)で7-8割を得点できる能力のことを“基礎学力”と定義づけていたのを見たこともあります。確かに、それは一理あります。ただ、もう少し具体的に定義しながら考えていきたいと思います。

まず広い意味での基礎学力と言うと、個人的には

1、読み・書き・計算
2、同時に複数の条件を処理できる能力
3、関連付けと一般化をする能力
4、仮定と推測をできる能力
5、集中力

等々が思い浮かぶのですが、このような言い方だと話が大きくなり過ぎてしまうので、もう少し現実的に考え直してみます。

・・・結局のところ

A、基礎知識=INPUT
B、解く力・運用力=OUTPUT

この二つに集約できるのではないでしょうか。

Aは単語や文法、漢字、定理・公式・解法、その他もろもろの基礎的な知識のこと。これらが事前にどれだけ蓄積されているか。たとえ要領・効率の個人差はあっても、時間と労力さえかければ誰でも相応に達成できる課題です。受験から逆算して、たとえば、高3の夏くらいを目標にある程度終了していればよいと思います。

問題なのはBです。“OUTPUT”とは“知識”そのものではなく、“知識”をいかに引き出し、そして使うかという、ある種の技術論になります。そしてその技術の習得にはおそらく年単位の時間を要すると考えられます。

少し脱線しますが、本来、その“技術”は小・中・高、それぞれの学習環境において長期的に習得されるべきものであり、そのきっかけは中学受験や高校受験の場合もあるでしょう。 では、“OUTPUT”の技術習得のために有効な訓練とは何か。

*書いて説明することの重要性
まずは“書くこと”だと思います。文章をたくさん書かせる学校、あるいはそのような入試を課す学校というのは、すなはち「基礎学力を伸ばす学校」と言えます。一見無駄に思えるようなレポートや作文等を小中学生期にこなしておくことは大学受験に際して有効です。

再び脱線しますが、「理解することと解けることは違う」とよく言われます。確かにそうです。しかし更に言うと、「理解できなくても解ける」ということも真なのです。実は、OUTPUTに長けた人には、その現象が起きやすく、だから、仮に大して受験勉強をしていなくても、センター試験で7-8割容易くとれたりするわけです。

それでは受験に向けてOUTPUT能力を向上させるためにはどうすべきか。

1)覚えることばかりに一生懸命になっていませんか?
「自分は知識をだいぶ覚えた自負はあるけど、なかなかテストや初見課題でうまくいかない」というケースがあります。その場合、もっと初見の問題にあたって“解く練習”をしましょう。あまり辞書や参考書を使わずに自力で考えてみるのも手です。

2)受験校の傾向にばかりとらわれていませんか?
よく“受験校への最短距離を行く”というコピーを見ますが、まだ時間があるのなら、色んなタイプの問題を解くべきですし、できるだけ基礎的な学習方法を経るべきです。基礎的な学習方法とは、知識の習得はもちろん、やはり、“書いて説明する”という学習に他なりません。

3)その場しのぎの学習に終始していませんか?
あるいはテストのための勉強になり過ぎていませんか? それではせっかく覚えたこともすぐに忘れてしまいます。また、単元と単元の相関性などが薄れてしまい、全体像の把握に届きません。早い段階(高2生頃)から大学受験を念頭に置く方が効果的です。

4)手順・段階を重視していますか?
どんな人でも問題を一目見てすぐに解けるわけではありません。条件を整理したり、試行錯誤したり、仮定を置いたりなど、手順を踏みながらゴールをめざして問題を解いていくものです。その手順を、たとえば面倒だからと言って省いたりしているようでは、なかなか高校レベル、ましてや大学受験レベルには届かないでしょう。

5)解けたことに満足していませんか?
仮に問題が正解できたとしてもそれは偶然かもしれませんよね。偶然で終わらせないためには、正解にたどり着くための根拠や道筋が必要です。常に根拠や道筋を確認すること。これは解き終わった後でも構いません。それがまさに復習でもあります。

6)自分の間違いに気付けていますか?
自分の答案を提出する前に自分で確認・添削をする、あるいは正誤問題に意識的に取り組むことで、間違いに敏感になります。これも一つのOUTPUT訓練です。何でもスルーしてしまう傾向は受験では危ない要素の一つです。尚、自己添削は最も学習効果が高い方法論の一つです。

7)だらだら解いていませんか?
特に問題演習では時間を区切って解く練習が有効です。じっくりとあたるべき問題もありますし、すべてを焦って解く必要はありませんが、集中して解くため、あるいは処理能力を高めるためにも時間を区切ることが有効です。与えられた時間内でどれだけのパフォーマンスを発揮できるか、これこそ自分自身の“OUTPUT能力”でもあります。

以上、今回はOUTPUTに焦点をあてた話となりました。もちろんINPUTもそれ以上に大切ですが、これから受験を目指す方の参考になれば幸いです。

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