合否の紙一重
入試合否結果のわかれ目は紙一重で1点・1問の差が響いてくるというのは周知の通りです。たしかに“運”もありますが、それだけで片付けてはいけないのかなと思います。
<勘の醸成>
まずは“勘”について。勘はどのように養われるのか。選択肢中、残り2択になった場合に、参考書通りの知識や機械的な解法だけでは選びきれない場合もあります。知識についていえば、その知識の質が問われることになります。どれくらい深く理解しているか、周辺の知識と合わせて整理できているかで正解への可能性が変わってきます。 以下、単語選択の例
1,make 2,form 3,create 4,produce 5,build
上記はすべて「つくる」という意味の単語ですが、意味のニュアンス、語法などが異なります。それらの使い分けなどを意識して勉強してきたかどうかが正解への分かれ目ですし、文中の空欄補充であれば、文脈を読み取る力も同時に必要とされます。 さらに“勘”を機能させるために大切なのは演習量です。たくさんの入試問題に触れることで、答えに対するセオリーや出題者の意図を捉える感覚が身についてきます。
結局のところ、“勘”を醸成するためには、経験、そしてそれ相応の時間・量・質が必要になってくると思います。受験勉強それ自体につぎ込んだ時間と質がよい程有利ですし、またそれ以前の小・中学生時の学習の質・レベルも関係してくるものです。
<確実性>
合格しやすくなるための戦略として「得意科目をつくる」あるいは「計算できる科目をつくる」ということがあります。特に国公立2次・私大一般についてその必要性を感じます。得意で計算できる科目があれば、総合得点の“ぶれ”も少なくなるわけですから、一発勝負の入試では失敗する可能性が下がると考えられます。
たとえば私大文系であれば、英語であったり、歴史であったり、3科中2科目が計算できればだいぶ有利。東大のように4教科入試であれば2教科は欲しいところです。東大や東工大に限って言うと、その合格最低点や科目数から、苦手科目をなくすことより、得意科目を増やすことのほうが有利だったりするものです。
もう一つは、受験勉強のプロセスとして、できるだけ早い段階で自分の得点力を安定させておくこと。センター試験や個別の入試問題に対して、直前でなんとか目標点数がとれるようになるケースも多くあります。ただそういう場合、必ずしも本番でその通りの得点がとれるとは限らず、むしろ早い段階から過去問で一定の得点をとれている人の方がやはり本番で安定した結果に落ち着きやすいものです。部活に励んでいた現役生などは仕方ない面もありますが、できるだけ早く(通常1年以上前から)受験勉強を始め、余裕をもってひと通りを終わらせ、相応の結果を早い段階で出しておくということが、入試本番で安定的な“戦い”をするための指標となります。
その他、記述式でいかに部分点を稼ぐか、失点を防ぐかの工夫も重要です。また、ケアレスミスを減らすこと、さらにはメンタルな問題も関係してくると思います。 いずれにしても大学入試とは、一朝一夕にはいかないものだということ。それなりの時間と労力、さらには工夫・戦略・質をもって取り組むべきチャレンジなのだとあらためて感じるところです。