入試現代文の学習法(記述編)
前項「導入編」からのつづき
先述Eの記述練習に関して。記述式に苦手意識のある(あるいは食わず嫌いな)受験生は多いと思います。しかし国公立大はもちろん、私大も含めて、部分的にでも記述式を採用している大学は意外と多くあります。まずは文中からの抜き出しやその組み合わせでも構わないので、“書くこと”に慣れることが大切です。いきなり記述式で“満点”な答案をつくることは難しいもの。そのことを前提に、恐れずに書いて思いっきり間違えればいい、と個人的には思います。
語・句・文のつながりを意識しながら文章を書く
記述式に慣れてくれば、徐々にその精度を上げていく必要がありますが、ポイントとしては大きく2つあります。
1)設問の題意にしっかりと応えられているか
2)日本語表現として正確なものになっているか
1については先述Dのところで少し触れたので、ここからは後者2について説明していきます。通常、個々の設問は“一文”で端的に答えさせるという、ある意味シビアな条件を伴っています。その一文が、日本語表現として正しく、かつ設問の題意にしっかりと応えられているか、というところが得点の分かれ目となっているのです。
では、正しい日本語あるいは文章であるためにはどうすればよいのか? 極論を言えば、語・句・文、それぞれの繋がりを適確なものにするということです。例えば、文と文(あるいは節と節)の繋がりとして、順接か逆接か、比較か因果か、など文章全体としてのフレーム(=枠組み・かたち)が定まっていないと相手(採点者)には伝わりません。また、語句レベルで言うと、主語・述語(あるいは修飾語・被修飾語)の関係が整っているかどうかに気を付けながら全体を整えていくことが基本であり、畢竟、一文としてみて、言葉同士が適切に繋がっているかどうかで、“正しい日本語”か否かがある程度決まってくるのです。
さらに、言葉と言葉をうまくつなげる手段として、語句の言い替えや表現のバリエーションが有効となります。例えば、フレーズをワードに言い換える技術やボキャブラリーがあれば、表現のバリエーションも増え、文の組立てや推敲がスムーズです。先述の“一文で端的に答える”場合に、この手法が使えれば相当な助けとなるでしょう。
以上を踏まえ、自力で挑戦した後は、ぜひ信頼のおける人へ添削をお願いしてみてください。単に模範解答を眺めるだけよりも、自分の作成した答案を吟味し、正答に近づけていく作業の方が有意義な学習となるはずです。ちなみに、自分で書いた文章(答案)を自分で読んでみて意味がわからない、ということであれば、その時点でそれはほぼ“不正解”です。あらためて自己添削・推敲をしてみるといいでしょう。
あとは、作文の延長として100~200字程度の要約練習などをお勧めします。それくらいの字数であれば、いくつかの文で文意が構成されることになり、文と文の繋がりを含め、自分が書いた文章あるいは見解を“客観的”に捉える契機となるからです。
速読よりも精読
中学受験の場合、小学生に対して、より速く読むことを求めるようですが、大学受験の場合、一部の私大を除けば、それほど読むスピードにこだわる必要はないように思います。むしろ演習時は、細かく読む、いわゆる“精読”を心がけた方がよいでしょう。勿論、結果的に速いにこしたことはありませんが。
最後に
やはり国語の勉強法を短く端的にまとめるのは容易ではないですね。今回触れられなかった私大現代文やセンター現代文への対策、あるいは小説の読解等についてもあらためて書きたいと思います。また東大国語についてもより詳しくアドバイスできればと思います。