2023/09/18 月

上智大学入試制度&動向「2024入試日程変更の影響は?」

上智大学は2021年度から独自の入試制度を敷いていますが、さらに2024年度は入試日程を大幅に変更予定です。その影響を含めて上智大学の入試制度についてまとまて解説します。

まず上智大学の入試制度から確認していきます。

一般選抜としては、A)TEAPスコア利用方式、B)学部学科試験・共通テスト併用方式、C)共通テスト利用方式の3つの入試方式があります。

A)TEAPスコア利用方式は、全学部入試を兼ねており、来年からは2月6日に実施されます。英語は事前に受験してあるTEAPを点数化、当日は国語と地歴(場合によっては数学)の2科目を受験します。そして、科目が同じであれば一回のテストで複数学部併願も可能となっています。

B)学部学科試験・共テ併用方式は、英語と国語、地歴(数学)を共通テストで受験し、当日に学部学科独自の試験を1科目受験する方式です。また、共通テストの英語の点数に英語外検(英検やTEAP)の持ち点が加点されます。

C)共テ利用方式は、3科目型と4科目型があり、3科目型は去年からの新設になります。

理系の場合は、基本的には文系と同様ですが、試験科目が異なります。まず、A)TEAPスコア利用方式では、英語(TEAP)と数学、理科2科目を受験することになります。次に、B)学部学科試験・共テ併用方式では、共通テストで英語、数学、理科1科目、独自試験で数学、理科1科目を受験します。TEAP利用方式では理科2科目なのに対し、共テ併用方式では理科1科目になっています。

 

ここからは、文学部を例に入試方式を見ていきます。

A)TEAP利用方式

試験区分 科目・詳細 配点
英語外検 TEAPを得点換算 150点
独自試験 国語総合(古文・漢文含む)

マーク式

100点
独自試験 地歴(日本史or世界史)

*哲学科は数学を選択可

地歴:マーク式・記述式併用

数学:マーク式

100点

*2023年度のデータ(以下同様)

学科 定員 入学許可数 競争率
14 42 2.9
23 55 2.4
国文 10 24 3.7
英文 24 90 2.5
独文 13 47 2.9
仏文 15 25 3.6
新聞 20 55 2.5

点数配分は一般的な私大と変わらないので、TEAPの得点が重要になってきます。また、地歴は記述式併用なので差がつきやすいです。どの学科も倍率は2~3倍です。

B)学部学科試験・共テ併用方式

試験区分 科目・詳細 配点
共通テスト リーディング:リスニング

=1:1

*英語外検:上限付き加点方式もあり

60点
共通テスト 国語(古文・漢文含む) 40点
共通テスト 地歴または公民

*哲学科は数ⅠA選択可

40点
独自試験 学科別試験

例)新聞学科…ジャーナリズムに関する基礎学力試験

100点

 

学科 定員 入学許可数 競争率
19 49 2.8
23 98 2.7
国文 30 113 3.4
英文 37 168 2.1
独文 18 65 1.9
仏文 20 40 3.0
新聞 40 84 2.2

共通テストの英語には英語外検が加点され、具体的には、C1・C2(英検1級以上)で30点、B2(英検準1級以上)で20点、B1(英検2級以上)で10点、A2(英検準2級程度)で5点加点されます。しかし、丸ごと加点されるわけではなく、共テとの合計で200点が上限となります。そして、その合計点が60点に圧縮されます。入学許可数はTEAP利用方式よりもやや多く、これが上智のメインの入試方式と言えます。

C)共テ利用方式(3教科)

試験区分 科目・詳細 配点
共通テスト リーディング:リスニング

=1:1

*英語外検も利用可(B2以上)

200点
共通テスト 国語(古文・漢文含む) 200点
共通テスト 地歴または公民

*哲学科は数ⅠA選択可

100点

*得点率は河合塾のデータを参照(以下同様)

学科 定員 入学許可数 競争率 得点率
2 30 3.8 82%
2 37 4.7 85%
国文 2 42 2.7 82%
英文 2 20 6.2 84%
独文 2 46 3.3 82%
仏文 2 44 3.0 79%
新聞 2 50 4.0 83%

共テ利用方式でも英語外検が利用可能で、共通テストの英語と英語外検の点数の良いほうを採用できます(いわゆる見なし得点利用方式)。具体的には、C1・C2で200点、B2で180点となり、B1以下は利用できません。

C)共テ利用方式(4教科)

試験区分 科目・詳細 配点
共通テスト リーディング:リスニング

=1:1

*英語外検も利用可(B2以上)

200点
共通テスト 国語(古文・漢文含む) 200点
共通テスト 地歴または公民 100点
共通テスト 数ⅠA 100点

 

学科 定員 入学許可数 競争率 得点率
3 53 1.4 78%
2 41 2.0 80%
国文 3 38 1.7 79%
英文 3 34 1.6 80%
独文 3 32 1.5 74%
仏文 2 30 1.4 76%
新聞 3 48 1.6 78%

この方式は実質的に国公立志望向けであり、3科目型に比べて入学許可数が多く、競争率も低くなっています。

 

ここからは、入試方式別に見ていきます。

A)TEAP利用方式

TEAPの得点目安について、上位学部ならば309点(B2相当)を目指すとよいでしょう。下位の学部では280点(7割)でも可能性があります。

それでは、学部ごとに確認していきます。まず、総合グローバル学部総合人間科学部の配点は先ほど見た文学部と同様です。

試験区分 科目・詳細 配点
英語外検 TEAPを得点換算 150点
独自試験 国語総合(古文・漢文含む)

*マーク式

100点
独自試験 地歴(日本史or世界史)

あるいは

数学(1A2B)

地歴:マーク式・記述式併用

数学:マーク式

100点

 

学科 定員 入学許可数 競争率
総グロ 65 192 2.9
教育 18 42 2.9
心理 15 22 4.5
社会 17 25 6.4
社会福祉 15 22 5.0
看護 15 21 1.9

次に、経済学部(文系)について、経済学科は数学必須で配点はスタンダードなものです。一方、経営学科は数学か地歴の選択が可能になっています。ただし、経営学科は配点が他と異なり、TEAP重視、かつ国語軽視と言えます。

試験区分 科目・詳細(経済学科) 配点
英語外検 TEAPを得点換算 150点
独自試験 国語総合(古文・漢文含む)

*マーク式

100点
独自試験 経済学科は数学必須

*数学:マーク式

100点

 

試験区分 科目・詳細(経営学科) 配点
英語外検 TEAPを得点換算 200点
独自試験 国語総合(古文・漢文含む)

*マーク式

100点
独自試験 日本史・世界史・数学から選択*数学:マーク式

*地歴:マーク式・記述併用

150点

 

学科 定員 入学許可数 競争率
経済 30 64 2.8
経営 25 109 3.3

最後に、神・法・外国語学部について、配点はスタンダードな形で、入学許可数は国際関係法学科、英語学科、ロシア語学科が多め、競争率はロシア語学科とポルトガル語学科が低くなっています。

試験区分 科目・詳細 配点
英語外検 TEAPを得点換算 150点
独自試験 国語総合(古文・漢文含む)

*マーク式

100点
独自試験 神学部は地歴(日本史or世界史)から選択

法学部と外国語学部は地歴と数学から選択

地歴:マーク式・記述式併用

数学:マーク式

100点

 

学科 定員 入学許可数 競争率
8 9 2.9
法律 44 94 2.8
国際関係法 29 100 2.5
地球環境法 18 37 3.1
英語 45 147 2.6
ドイツ語 15 58 2.2
フランス語 18 76 2.5
イスパニア語 18 66 2.6
ロシア語 14 106 1.7
ポルトガル語 14 77 1.8

 

ここで、TEAP利用の偏差値を見ていきます。

*得点率は河合塾のデータを参照(以下同様)

学科 偏差値
55.0
62.5
62.5
国文 62.5
英文 60.0
ドイツ文 60.0
フランス文 62.5
新聞 60.0
教育 60.0
心理 62.5
社会 70.0
社会福祉 62.5
看護 52.5

 

その2

学科 偏差値
法律 62.5
国際関係法 62.5
地球環境法 60.0
経済 60.0
経営 65.0
英語 60.0
ドイツ語 57.5
フランス語 60.0
イスパニア語 60.0
ロシア語 57.5
ポルトガル語 57.5
総合グローバル 62.5

 

最も高いのは総合人間科学部社会学科、続いて経済学部経営学科になります。一方、最も低いのは神学部や看護学科です。尚、文学部英文学科と外国語学部英語学科の偏差値は同じ60.0です。

B)学部学科試験・共テ併用方式

試験区分 科目・詳細 配点
共通テスト リーディング:リスニング

=1:1

*英語外検:上限付き加点方式もあり

60点
共通テスト 国語(古文・漢文含む) 40点
共通テスト 地歴または公民

*哲学科は数ⅠA選択可

40点
独自試験 学科別試験

例)新聞学科…ジャーナリズムに関する基礎学力試験

100点

先ほど見た文学部の学部学科試験・共テ併用方式の配点が文系学部のスタンダードになります。

では、独自試験として学部学科別にどのような試験が課されるのか見ていきます。

学科 独自試験の科目・内容 定員 入学許可数 競争率
キリスト教と聖書の基礎… 12 12 2.3
哲学への関心および読解力・思考力・表現力… 19 49 2.8
歴史学をめぐる試験 23 98 2.7
国文 現代文・古文・漢文の読解力を問う試験 30 113 3.4
英文 英語適性試験(長文・英語小論文など) 37 168 2.1
ドイツ文 文化・思想・歴史に関するテクストの読解力… 18 65 1.9
フランス文 フランス文学・文化・歴史に関するテクスト… 20 40 3.0
新聞 ジャーナリズムに関する基礎的学力試験 40 84 2.2
教育 人間と社会に関わる…論理的思考力・表現力… 23 68 3.8
心理 心理学のための理解力と思考力を問う試験 20 29 5.9
社会 *教育学科と同じ 25 91 3.8
社会福祉 社会および社会福祉に関する理解力と思考力… 20 40 2.6
看護 *教育学科と同じ 21 100 1.6

 

学科 独自試験の科目・内容 定員 入学許可数 競争率
法律 学部共通

社会(国際関係と環境問題を含む)と法・政治に関する試験(基礎学力や思考力を問う)

64 215 2.9
国際関係法 44 214 2.4
地球環境法 29 73 2.7
経済 数ⅠAⅡB(学部共通) 85 454 2.2
経営 英語選択:英語

数学選択:数ⅠAⅡB(学部共通)

85 443 3.6
英語 学部共通

①高度なレベルの外国語学習に対する適性を測る(英語+選択した言語)

②外国語研究に必要な基礎的知識・日本語の読解力・論理力・思考力を測る

50 217 2.2
ドイツ語 21 94 1.7
フランス語 23 137 1.9
イスパニア語 28 156 1.7
ロシア語 20 158 1.4
ポルトガル語 20 129 1.5
総合グローバル グローバル化する人間社会について提示された資料の理解力および思考力を問う(英語の設問を含む) 70 355 2.1

上智の中では最も入学許可数の多い入試方式で、例えば英文学科では入学許可数が168人、競争率は2.1倍になっています。最も倍率が高いのは心理学科です。

経済学科・経営学科は人気ですが、入学許可数も多く、そこまで競争率は高くないと言えます。

C)共テ利用方式(3教科)

学科 定員 入学許可数 競争率 得点率
2 5 5.8 72%
2 30 3.8 82%
2 37 4.7 85%
国文 2 42 2.7 82%
英文 2 20 6.2 84%
ドイツ文 2 46 3.3 82%
フランス文 2 44 3.0 79%
新聞 2 50 4.0 83%
教育 3 41 3.7 83%
心理 2 5 12.0 87%
社会 2 15 7.4 85%
社会福祉 3 42 6.9 84%
看護 2 2 47.0 78%

その2

学科 定員 入学許可数 競争率 得点率
法律 2 63 4.8 86%
国際関係法 2 45 4.5 85%
地球環境法 2 42 3.8 83%
経済 2 26 7.3 82%
経営 5 85 8.8 86%
英語 2 31 5.8 84%
ドイツ語 2 42 3.0 80%
フランス語 3 40 4.9 81%
イスパニア語 2 48 3.6 80%
ロシア語 2 70 3.6 78%
ポルトガル語 2 28 3.1 76%
総合グローバル 3 69 5.3 85%

早慶が3科目型の共テ利用方式を利用していないので、ボーダーラインは実質私大トップクラスとなっています。約80%前後で、最も高いところは心理学科の87%です。

C)共テ利用方式(4教科)

学科 定員 入学許可数 競争率 得点率
2 3 3.0 69%
3 53 1.4 78%
2 41 2.0 80%
国文 3 38 1.7 79%
英文 3 34 1.6 80%
ドイツ文 2 32 1.5 74%
フランス文 2 30 1.4 76%
新聞 3 48 1.5 78%
教育 3 32 2.6 79%
心理 3 13 5.7 83%
社会 3 46 3.1 83%
社会福祉 2 37 1.7 75%
看護 2 20 3.9 74%

その2

学科 定員 入学許可数 競争率 得点率
法律 5 130 2.3 82%
国際関係法 3 96 1.9 81%
地球環境法 3 27 1.9 76%
経済 4 209 2.6 82%
経営 15 177 2.9 81%
英語 3 81 1.6 78%
ドイツ語 2 26 1.7 75%
フランス語 2 24 1.8 77%
イスパニア語 2 27 1.9 78%
ロシア語 2 29 1.9 74%
ポルトガル語 2 8 2.8 73%
総合グローバル 2 86 2.1 79%

3科目型の競争率が4.5倍であるのに対して、4科目型は2.5倍とだいぶ低くなっています。尚、共テ併用方式の得点目安は単独利用の3科目型と4科目型の間くらいです。

 

次に、2024年度入試日程変更とその影響について見ていきます。

学部学科 備考
2/6 AM TEAP利用/文系学部 神・心理・看護は2次試験あり
PM TEAP利用/経済(理系)、理工
2/7 AM 神、教育、社会、看護 神・看護は2次試験あり
PM 史、英文、ドイツ文
2/8 AM 社会福祉、心理 心理は2次試験あり
PM 哲、国文、フランス文、新聞
2/9 AM 法律、国際関係法、地球環境法
PM 経済、経営
2/10 AM 総合グローバル
PM 英語、ドイツ語、フランス語、イスパニア語、ロシア語、ポルトガル語
2/11 AM 理工学部3学科

まず、入試日程については、①入試が2月6日開始となり、3日繰り下げられていること、②それに伴って出願日も繰り下げられたこと、そして、③文学部と総合人間科学部の入試日程が2日間に分割され、間口が広くなったことが主な変更点です。

続いて、影響についてですが、TEAP利用方式が2/6になったことで、2/6,8,9は立教と日程が被ることになります。また、その他のMARCHもほぼ同時期なため、受験者が分散する可能性があります。特に上智・青学・立教は併願が多いため、動向に注意しましょう。加えて、2/1~5に上智が入試をしなくなったことで、ICUや成蹊、成城、明学の志願者が増えるかもしれません。

理系については、もともと2/7が受験日だったので明治理工と被っていたのが、両方受験できるようになりました。

 

最後に、出願例を志望学部別に4つほど紹介します。

  • 私大専願で上智大学総合グローバル学部を第一志望とする場合

TEAPの目標点数は309点くらいとなります。もしTEAPを受験しない場合、または点数が芳しくない場合は、他の英語外検で共テ併用方式を受験するという選択肢もあります。その場合、国際関係法学科(2/9AM)や英文学科(2/7PM)を共テ併用方式で受験すると併願しやすいです。TEAP利用方式と共テ利用方式は、追加費用を払えば一回で複数の学部学科に併願可能です。

  • 私大専願で上智大学経済学部経営学科を数学で受験する場合

TEAP利用方式の独自試験の数学の配点が高いので、数学が得意な人にはおすすめです。また、共テ併用方式も、共テの数学1A20点と独自試験の数学150点で合計170点となり、250点中170点が数学となります。他学部の併願については、TEAP利用方式と共テ単独利用3教科で経済学科の併願が可能です。特に、共テ単独利用方式3教科は数学の配点が大きいです。

  • 私大専願で上智大学総合人間科学部教育学科を第一志望とする場合

TEAP利用方式の配点は①と同様で、共テ併用方式は①と比べると独自試験の割合が高いです。併願について、TEAP利用方式では神学部や英文学科、共テ併用方式では、総合グローバル学部(独自試験の親和性が高い)や社会学科が考えられます。

  • 私大専願で上智大学外国語学部英語学科を第一志望とする場合

英語学科志望の受験生は英語が得意な人が多いので、まずはTEAPで差をつけられないようにする必要があります。共テ併用方式は2/10実施になり、独自試験の配点は100点とやや高めです。併願については、TEAP利用方式でも共テ併用方式でも、英文学科や総合グローバル学部が考えられます。

 

またこちら(↓)の動画でも詳しく解説しています。

 

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