一橋大学入試から考える学部の選び方
今回は一橋大学の入試から考える受験学部の選び方ということで説明をしていきます。
一橋大学は言うまでもなく文系大学の最難関学府のひとつで東大に匹敵する難易度を誇ります。
学部は法学部・経済学部・商学部・社会学部。これらに加え、2年前にソーシャルデータサイエンス(以下:SDS)学部が新設されました。こちらは文理融合学部と言えるかもしれません。
いずれにしても一橋大学に行きたい!と決まってはいても学部で悩む人は割と多いかと思います。
そこで今回は入試配点などから各学部を紐解くコンセプトで進めていきます。また2025年度から始まる共通テストで必須の「情報1」の配点についても見ていきます。
2025年度の各学部入試科目配点
まず2025年度の入試科目配点を学部別に見ていきます。
一橋大学の入試の特徴は学部ごとに配点がまったく異なるということです。
二次試験はもちろん、共通テストの配点もばらばら。合計が1000点になるところだけは統一されています。
前期日程
前期日程に関して、科目選択はSDS学部を除けば同じで2次試験で英語・数学・国語そして地歴から1科目の計4科目になります。
SDS学部の場合は地歴の代わりに総合問題が課されます。 ここでSDS学部の入試配点について詳しく見ておくと、共通テストで地歴公民と理科の配点が選べるようになっています。
つまり、文系型と理系型のいずれでも受験が可能で、さらに2次試験で地歴が課されない代わりに総合問題が90点分となっています。
この総合問題が、いわゆる文系入試っぽいものではなく、確率統計や情報学をベースにした問題なので、その辺りの素養だったり相応の準備が必要です。
どちらかというと理系を意識したもので、誰でも受けられるという内容・レベルではないかなと思います。
後期日程
あと後期日程も見ておくと、後期日程があるのが経済学部とSDS学部のみです。
まず経済学部の方は2次が英語と数学のみで、数学については数Ⅲも選択可能ということで理系志望者の出願も少なくありません。
ちなみに2025年、情報の配点が200点分の30点、つまり15%を占めます。
定員は前期185人に対して後期58人なので割と多めと言って良いと思います。
一方、SDS学部の定員は前期30人に対して後期25人なのでこちらも多いです。
2次試験の科目は経済学部の後期と同じで、配点のみ異なりますが、文系・理系どちらでも受験できそうです。
ただしいずれの学部も2次試験の配点比率は200:800とかなり2次重視、かつ共通テストボーダーはどちらも89%とかなりハイレベルな争いになります。
学部別配点比率について
ここで学部別の2次試験配点比率について、前期日程のみですがグラフにまとめてみました。
共テの比率が最も低いのは社会学部の18%と20%以下です。
逆に一番高いのは商学部で30%になります。
また、商学部と経済学部を比べると、商学部の方が共通テスト重視で、逆に経済学部の方が2次試験重視ということになります。
数学の配点比率
続いて、数学の配点比率です。左の青い方が2次試験内での数学の比率、オレンジの方が共通テストと2次試験の合計点内で数学が占める比率です。
一目瞭然で、最も高いのはSDS学部。
これは2次試験が英語と数学のみで科目数が少ないということもあって当然ではあります。
それを除くと、経済学部と商学部で数学の比率が高く、だいたい30%前後とほぼ変わらないぐらい。
法学部で20%強、社会学部では15%ほどになります。
社会学部と経済・商学部とではグラフで比べて見るとどれだけ違うのかがよくわかると思います。
地歴の配点比率
それから地歴の配点比率もみておきましょう。こちらは2次試験のみでの比較になりますが、やはり社会学部が28%と圧倒的に高いです。
続いて法学部、経済学部、商学部の順番です。
商学部と経済学部はあまり変わらない印象ではありますが、厳密にいうと社会地歴の配点としては経済学部の方が高く、逆に最も低いのが商学部となります。
情報の配点比率
次は2025年度から共通テストで必須となる情報1の配点比率についてもグラフで表してみました。社会学部は5%と他大の文系並みの配点になっています。
それ以外は法学部を含めて10%を超えていてかなり比重が高いと言わざるを得ません。
一橋大学全体として情報重視と言ってよいと思います。
二次試験の出題傾向について
ここで一橋大学の二次試験の出題傾向について見ておくと、この表のようになります。基本的にどの科目も難しめの問題が中心。
国語
古文が出題範囲外となっていていますが、第2問で近代文語文が例年出題されています。
2022年度は珍しく近世古文からの出題でした。
あと第3問が現代文の200字要約になっています。
地歴
日本史・世界史・地理からの選択です。
論述形式中心で難易度が高く、東大より難しいと言われることもあります。
数学
東大に比べるとやさしめではありますが、それなりに難しいです。
よく出るといわれているのが、整数・確率・微積分
統計的な推測は、2025年度の出題からは除くとされています。
英語
来年度からリスニングが廃止されるということはわかっていますが、現時点では詳細が不明です。
これまでの出題傾向・問題構成としては、長文が1~2題・テーマ英作文が1題・そしてリスニングが1題でした。
リスニングが廃止されるということで、もしかすると文法問題が復活したり、あるいはもう1題英作文が追加されたり、ということになるのかなと思います。
とにかく難易度が高めで、全学部を見ても配点が高く設定されています。
ですので、英語が苦手な人には受験自体がおすすめできません。
一橋大学を本気で狙うのであれば、英語の学力水準を難関大学レベルにまで高めておくことが前提になります。
前期定員と共テボーダー
各学部の配点について
改めて各学部ごとの配点を詳しく見ていきます。
法学部
2次試験の英語が280点と37%を占めます。
数学については180点で24%と地歴公民の170点とほとんど変わらないので基本的には英語重視型といってよいかと思います。
社会学部
前述の通り、全体として2次重視になっています。
共通テストでは理科の配点が圧倒的に高いのが特徴です。
一方で、情報の比率が一橋で最低ライン10点=5%にしかあたりません。
また、2次試験では英語と地歴重視がはっきりしています。
逆に、数学の配点比率は2次試験の中では15%程度と、最も低くなっています。
商学部
2次試験では英語と数学重視型といえます。
また、一橋の中では共通テストの配点比率が30%と全学部の中で一番高い。
情報は16%と高め。
2次試験の配点比率を見ると、社会地歴の比率が案外低いです。
経済学部
商学部と割と似たような配点になっていますが、商学部と比べると2次重視です。
この両者の出願で迷う人が多いかと思いますが、共通テストボーダーを比べると商学部82%、経済学部81%なのでやや商学部が高くはなっています。
一方で、前期日程の定員は商学部243、経済182に比べると30%以上多くなっています。
また、共通テストの配点比率を見ると、商学部30%、経済学部21%と商学部の方が高いです。
このことから、共通テストが良かった場合は商学部が有利に感じます。逆に2次試験で逆転をという場合は経済学部が狙い目かもしれません。
SDS学部
経済学部との比較で見てみます。
地歴がなくて総合問題という点は前述の通りです。
2次試験の数学の配点が経済と比べても330点とかなり高い。2次試験の配点割合でいうと44%。ですので数学重視だと言えるでしょう。
総合問題は90点です。
学部の選び方まとめ
以上を踏まえてまとめてみます。
まず全学部的に2次重視&英語の配点が高い。
しかも英語の難易度は高いので、英語が苦手な人は勝負にならない大学だと思います。
数学重視の学部と共通テスト情報の優先順位はほぼ比例していると言えます。
そして2次試験で地歴の配点が高いのはもちろん社会学部ですが、実は経済学部より商学部の方が低いというところもひとつ判断材料になるかと思います。
例えば、数学は得意だが地歴が間に合っていない場合などは、経済学部よりは商学部の方がよいかもしれません。
逆に、2次で逆転したいという場合は、経済学部の方が2次比率が低いので可能性が高くなると考えられます。
私大併願について
最後に、一橋大学志望者の私大併願にも触れておきます。
一橋志望者は早稲田・慶応。特に数学が苦手でなければ慶応の経済学部や商学部を併願する人が多いイメージがあります。
早稲田・慶応を併願した場合の併願成功率については、一橋大学入学者つまり合格者にかぎったおおよその数字になりますが、慶應経済学部の合格率50%、商学部70%ほどと言われています。
この2学部は数学で受験可能な学部なので併願者数も多いはず。
ちなみに慶應文学部も合格率70%ほどになります。
一方、早稲田は入試方式が慶應とは異なりますが、たとえば早稲田社会学部や商学部、共テ併用の政治経済学部を含めて40%前後から50%くらいだと考えられます。