2023/10/21 土

慶応義塾大学2025年度入試変更点

2025年度の大学入試は指導要領の変更に伴う慶応大学の2025年度の入試変更点について確認していきます。

まず、現行の入試制度について一覧にまとめました。

慶応大学は入試制度に共通テスト利用がないため、一般選抜としては独自試験のみです。

学部別の特徴について触れていきます。

法学部は英語の配点が400点分の200点とかなり高いです。しかし、この配点が2025年度以降変更となります。
次に、経済学部は数学選択のA方式と歴史選択のB方式に分かれています。数学あるいは歴史の配点が高めで、小論文の配点が低くなっています。
続いて、商学部は地歴が必須で、数学選択のA方式と論文選択のB方式に分かれています。やはり商学部も英語の配点が大きくなっています。
文学部は地理が不可になっています。
総合政策学部と環境情報学部の両学部は小論文の配点が半分を占め、残りは英語か数学の選択になります。
続いて理系になります。理工学部は理科2科目で、早稲田と比べると配点が高めになります。医学部も同様に理科2科目で配点高めです。
薬学部は化学が必須で、現行では数学の範囲は数Ⅲが除外されています。看護学部は英語の配点が300点と高めになっています。

では、本題の2025年度の入試変更点に入ります。

まず、文学部で「英語外部試験利用」が導入されます。これは慶応大学で初となります。英検のスコアが2500点以上あれば外国語が免除される得点換算方式です。ただし、スコア2500点は英検1級に近いレベルになっています。なお、これまで選択可能だった中国語は廃止されるようです。

次に、法学部の「論述力」が「小論文」に変更され、試験時間も90分から60分に縮小されます。元々、長めの文章を読んで要約や自分の意見を書かせる内容だったものが、恐らく短めの文章や資料を読み取りに変わり、記述量も減るのではないかと予想しています。また、「歴史」の配点が100点から150点に拡大され、試験時間も60分から90分に延長されます。マークシート方式だけだったものが、記述式を含むようになります。これに伴って、現行制度では英語の配点が半分を占めるのに対して、その比率が下がります。

最後に、学部別に「地歴」と「数学」の出題範囲の変更があります。これについて詳しく見ていきます。

<地歴出題範囲表>

まず「歴史」については法学部、経済学部、文学部で「歴史総合」を含むとなっています。共通テストでも世界史・日本史は歴史総合を含むことになっているので、それに倣った形です。なお、歴史総合とは、世界史・日本史の両方にまたがった近現代史のことです。実質的に範囲が増えることになります。一方で、商学部では歴史に「歴史総合」を含めません。これは地理選択者との不平等を減らすためだと考えられます。

<追記> 5月10日付で慶応大学から「法学部一般選抜」における「地理歴史(世界史・日本史)」 記述式サンプル問題が公表されました。世界史は300語、日本史は250語の論述問題でした。 https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/changes/

他の私立大学を見てみると、早稲田大学は全学部共通で「歴史総合」を含みません。一方、明治大学では全入試方式で「歴史総合」を含みます。

次は数学について見ていきます。今回は数ⅡB・数C、数Ⅲと大きな改定があったのでかなり変更が多く、複雑になってきます。

<数学出題範囲表>

まずは大きな変更点から確認しておくと、薬学部はこれまでは数ⅠA、数ⅡBのみだったのが数ⅢCを含むようになります。また、看護学部も数Cが実質必須になります。

次に、学部別にみていくと、経済学部と商学部は数Bの統計的推測を除外と、これまでとあまり変わりはありませんが、総合政策学部では統計的推測が含まれます。一方で、環境情報学部は数Ⅲ以外すべて出題範囲にし、理系寄りに舵を切りました。総合政策学部と環境情報学部では入学後も数学を必須としており、特に統計をしっかりとやらせたいという意図が表れているように感じます。

一方、理系の理工学部では数Bの統計的推測は除外されます。

なお、数Aの「整数」については、新課程では「数学と人間の活動」の中に含む扱いになりますが、理工学部と薬学部では従来通り「整数」を出題範囲とするとしています。薬学部はほとんど全範囲を出題範囲と、最も数学が厳しい学部になりました。医学部でも「整数」は範囲から除外されているのにもかかわらず、それよりも薬学部の方が、範囲が広くなります。

看護学部ではこれまでの数ⅠA、数ⅡBのみに数Cが追加となります。

慶応大学では学部ごとにかなり独自に出題範囲が設定され、学部の裁量が大きいと伺えます。

ほかの大学の数学についてですが、例えば東大は文系理系ともに数Bの統計的な推測を範囲に含みます。一方で、一橋は統計的な推測を範囲に含みません。早稲田は文系理系全学部共通で統計的な推測を範囲に含みます。ただし、数Aの「整数」についてはまだ明記されていません。東京理科大は文系を含めて統計的な推測を範囲に含みます。

慶応は相変わらずの独自路線であり、国公立大学との併願者への間口を広げる早稲田とは異なり、第一志望が慶応である学生を維持したい方針だと伺えます。2025年度の入試に注目です。

詳細はこちら↓の動画でも解説しています。

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